TL;DR
目的があれば要件がある。要件があれば設計ができる。
”デザイン”だって目的があればセンスじゃなくて理論的に設計できる。
つまり、俺でもきっとなんかカッコイイのが作れる!Q.E.D.!
はじめに
この週末、フォトブックを作っていました。うちの社員旅行のフォトブックです。
作成工程自体は、このブログと趣旨違うので別のブログに分けました。
写真を合成・調整、配置したりと、かなり”デザイン”チックな作業になりました。
ですが私自身、絵も書けなければ塗り絵さえもってのほかですので、正直言って”デザイン”のセンスはありません。
しかし、仕事柄”設計”はできます。
あれ?「デザイン」=「design」=「設計」だよな、ということで、フォトブックの作成工程を思い返すと、めっちゃ”設計”していたので、そのことを書きます。
設計1:成果物の目的を明確にする
フォトブックを作成するにあたり、社員のみんなから写真をかき集めました。枚数的には数百枚くらい集まったかなと思います。
さぁフォトブックを作成する目的は何でしょうか?
- みんなの写真を全部集めてシェアする
違います。こんな枚数印刷したところで紙面もったいなさ過ぎだし電子データ配ればいいですよね。
- 個人情報として売り捌く
違います。第三者がこれ金出して買わないですよね。。。(まさかね。。。
- 当事者が手元にすぐ見られる形で置いておいて、たまに見返して思い出に浸れるようにする
たぶんこれですね。わざわざブックとして物理的にする価値はこれでしょう。
ということで目的が決まりました。
成果物の目的を明確にする=機能要件
つまり、フォトブックの機能要件設計が完了したということです。
「無理矢理感ある」?無理矢理だよ!
目的が明確になる=やるべきこと、やらなくていいことが明確になる
目的は
- 当事者が手元にすぐ見られる形で置いておいて、たまに見返して思い出に浸れるようにする
でしたね。 となると、必ずやるべきことはこれです。
当事者なり、当事者がみた当時の写真が載っていること
参加者がある程度平等に感慨を得られること
まぁそうですよね。
ここで特筆したいなのは「やらなくてもいいこと」です。
上記目的を達成するためにやらなくてもいいことは、次のようなものがあります。
やらなくていいこと1:提供してもらった写真が全部載らなくてもいい
別人が撮っているので、もちろん似たような構図の写真も複数まいありますし、単純に数も膨大です。
「提供してもらったし、載せられる限り載せないと・・・」と思う人もいるでしょうが、それは要らない心配です。
案外「人の撮った写真の方がすごくよくて、俺のなんて・・・」なんて感じる人もいるかもしれませんし、これも優しさと思って目的を最優先しましょう。
やらなくていいこと2:元の写真データや現実の光景に忠実でなくてもよい
これも大事ですね。
いろんな人から写真を提供してもらう=カメラも多種多様です。
カメラの特性、カメラアプリの特性・フィルタ、EXIFとかのメタデータ、などなど。正直困るくらいバラバラです。
1冊のフォトブックにするので、ある程度統一感や流れが欲しいですが、それを阻害してしまうようなばらつきなら「補正」してしまえばよいのです。
目的を思い出しましょう。
- 当事者が手元にすぐ見られる形で置いておいて、たまに見返して思い出に浸れるようにする
思い出は美化されるものです。ということで、美化されるような方向に一貫して補正することでも、目的の達成に貢献できます。
さすがにある程度の色バランス・トーンくらいにしておかないと、思い出からズレてしまうので、加減には気をつけてましょう。
設計2:非機能要件
さぁ、機能要件が完了したところで、フォトブックの非機能要件を考えていきましょう。
非機能要件1:写真を綺麗にする
これは、「やらなくていいこと2:元の写真データや現実の光景に忠実でなくてもよい」の延長上になりますね。
写真をより鮮やかにしたりすることで、思い出を呼び起こしやすいようにする=つまり機能要件の達成をストレスなく行えるように補助するものです。
非機能要件2:ブックとして流れをつくる
イベント自体は写真旅行だったので、単純に「時系列」という流れが存在します。
ですが、時系列を表現しようとすると、圧倒的に紙面数が足りないはずです。
というわけで、ブックなりの「流れを」作成する必要があります。
大きく2ステップあります。
場面"内"の流れ
場面内というのは、一定時間内に凝集した写真があるはずですので、ある程度流れが作りやすいとは思います。
問題としては「どの写真をえらんだらよいかわからない」が大半だと思います。
基本は「参加者共通認識のイベント」です。 みんなで集合写真撮った、とかあの人がこんなコケしてた、とか。そのあたりのイベントをピックアップして、そのイベントを強調する流れにすればよいです。写真を結合して2段、3段オチのようにしてしまう、くらいの勢いでよいです。
バラついた写真がならんでいるよりも、ちょっとしたストーリーを1、2セット載せるだけで十分思い出話に咲かせられますよね。
目的を思い出してください「思い出に浸ること」なんです。
場面"間"の流れ
これが、案外意識してない人や、なかなかできない人が多いと思います。
場面間には、落差がありますね。
- 時系列の落差
- 写真の色調の落差(夕方・夜になったり、急に朝で明るくなったり)
- 読者のページめくり前の予想と、実際のページの落差
これらを解消するには、いろいろ手段はあります。
- 写真の色調を、場面転換に向かって調整していく
- 写真の配置に若干違和感をもたせて、次の場面にむけて気持ちの準備をさせる
- あえてインパクトを与えたいときは落差をさらに広げる
場面転換には色々なアイデアが必要ですが、一番のアイデア獲得方法は映像作品、特にアニメを見ることです。
アニメは作品によって色なり絵の雰囲気も違いますし、スタッフが違えば場面転換の作り方も違います。かなり参考になります。
流れを「あやつる」ことで、思い出をより盛り上げることができます。
おわりに
目的があると「どんな印象にしようか」「どんな要素を盛り込もうか」というアイデアの選定ができます。
つまり、目的があれば、理論的に”デザイン”が可能というわけです。
ところで、世の中には絵や音楽や色々な創作物があるわけですが「目的のない創作物」ってあるんでしょうか?
以前こんなものもありましたが、ある程度創作には歴史的背景や風刺、思想などの目的があるはずです。
そうなると、達成したい「目的」があれば、何かしら創作は誰にでも可能なのかなと思います。
そういうわけで、創作の気持ちを忘れないようにしたいと思っています。
というエモい話に落ち着きました。
ちなみにこの記事の「目的」は上記のアイデアを文字に起こすことで自分の承認欲求を満たしたいからです。
以上。。。